オフィスから出るときは水を持とう

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産業医・リハ医のヤマコーです。個人のFacebookはこちら


台風の被害が深刻なこのところですが、少し長い目で見るとまだまだ8月前半、バーベキュー夏フェスなど、野外イベントのシーズンです。IT ベンチャーの社員にはこうしたアクティビティーにも関心が高い方が少なくないと思いますが、対策はしっかり取られているでしょうか?暑い盛りに外に出ることはそれ自体が辛いことですし、当然喉も渇きます。おそらく多くの方にとって、「レジャーの際には水を持って外に出る」ということは自然なことです。アウトドアの活動が定期的な趣味になっている方にとっては水分補給は常識と化していることでしょう。が、普段はインドア派だという方は特に注意が必要かもしれません。今日はこうした暑い季節の熱中症対策について書いていこうと思います。

もくじ

  1. 熱中症とは
  2. オフィスワーカーの熱中症対策
  3. 補:水分バランスの話

熱中症とは

「熱中症」とは高い温度が原因で体内の水分調節機構に問題が生じ、それが原因で生じるさまざまな症状を指します。最重症の場合、意識の混濁痙攣などが見られ、死につながることがあります。ふらつきや吐き気、めまいなどの軽度の症状であれば経験があるという方もいらっしゃるかもしれません。人間には体温調節機能が備わっていますが、これをつかさどっているのはいわゆる自律神経です。周囲の環境への適応力とでも言えばイメージしやすいかもしれません。もともと適応力・対応力に乏しい、という自覚のある方もいるかと思いますが、そうでなくとも体調や環境変化のスピードによってはついていけないことがあります。また、環境に適応するリソースを無尽蔵ではありませんから。当然補給がなされなければ最初は適応できていても、後から体調を崩す原因となるのです。

オフィスワーカーの熱中症対策

「オフィスワーカーにとっての熱中症リスク」と言うと、え?そんなことあるの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。もちろん適切に反響がコントロールされたフロアの中であれば、滞在し続けることではリスクに晒されることはほぼ無いでしょう。問題は「環境変化」です。最も危険な場面の一つは退勤後の時間帯だと思います。つまり、空調の効いた快適なオフィスから外に出てご自宅に戻られる、あるいは次の予定までの間の移動中。このタイミングに危険があるように思うのです。

ビルの中と外では気温には大きな差があります。ビル内では冷えていたぶん、体も温度が下がっているので、高温環境は強いストレスです。また、外に出ることで湿度も上がる傾向にあると思います。ジメジメした環境の中では体感温度は上がりますし、汗をかくことによる体温の調節機構(汗をかいて蒸発すれば体温は下がります)がうまく働かず、より多くの汗をかこうとして脱水の傾向が強まると言われています。日の長いこの季節ですから、深夜までの残業後であであればいざ知らず、17時から19時くらいではまだまだ暑いものです。一日中働いて疲労がたまっている体にとっては、実にダメージが生じやすい環境と考えられます。さらに仕事中にお茶やコーヒーなどの飲料飲まれる方もいらっしゃると思いますが、これに含まれるカフェインには利尿作用があります。尿の水分は血液から供給されますから、この作用は体が使える水分の量を減らすということにつながるのです。汗以外の経路からの水分が失われるとなれば、これまた脱水リスクは強まるのです。

従ってお勧めしたいのは、退勤時に小さくても構わないのでペットボトルや水筒で水分を持ち出すということです。

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補:水分バランスの話

もとより日本人は水分摂取が不足する傾向があるようです(下記参照)。食物中からの水分摂取以外に、(体型にもよりますが)1〜2リットルの水分を摂ることを勧めます

なお必要摂取水分量の参考になる専門的な文献としては、こちら(英国アバディーン大学Shirreffs氏の研究。体内の水分動態についてのまとめ)があります。これに従えば、我々は2.6Lの水分を消費している=代謝で得られる分を除いた分(2リットル強でしょうか)を外部から取る必要があるということのようです。実態としては、国内メーカーの調査では、一般の方の7割超が1.5Lの水分を飲み物として取れていないとしています。コップ1杯を200mlとして、1食1杯飲んでもあと900ml必要と考えると、たしかにある程度意識的に飲む必要がありますね。ちなみに私はミネラルウォーターの1.5Lペットボトルを1日1本職場であけるようにしています(休日は気をつけてはいますが、イレギュラーになりがちです…)。

ただし先程カフェインの話で触れたように、せっかく水分をとっても有効に使えないというケースも存在します。水分を体内に留め干からびにくい環境にするためには、とる飲料の質も重要です(これについてはスポーツドリンクについての注意喚起記事でも触れました)。